実践FXブログ

スポンサーサイト

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。

No money, no honey

7f7fe7a5.jpgNO ○○、NO life のシリーズに行き詰まってしまったので、こんなタイトルになってしまふ今日の深良。雨は舗道を叩く。それゆえの水分過剰に我が家の湿度計は、あがりにあがる。

あるお友達(男性)に初めてお会いしたとき、彼はこのフレーズのT シャツをお召しになっていて、そのセンスに私は、思わず高笑い。これぞ、身もふたもない現実を蹴り飛ばしてくれる最強のユーモア。

本当にもう、お金がなければ恋人もつくれませぬ。

私のデビュー作「クオドリベット」は、社長夫人である女主人公が愛人を作るお話だ。女主人公の夫は社長と言っても、日本最大のフィナンシャルグループの雇われ社長なので、そう高収入ではないが、それでも彼ら夫婦は「家賃33万」のマンションに住んでいる。子供はいない。

女主人公は、夫を愛してはいるのだが、「社長夫人」の地位は愛していない(または、愛していないと自分では思っている)。「社長夫人」なんてやめてしまいたい、とすら思っている。
…もちろん、これって、お金がある人がいえるたわごとだ。

以下、深良マユミ著「クオドリベット」の冒頭部分を掲載します。第1話「社長夫人の憂鬱(1)」からです。

6時55分にサイドボードの携帯電話が鳴ると、碧(みどり)の一日が始まる。電話が鳴るといっても、それはモーニングコール機能なのでどこかからの電話がかかっていることは意味しない。意味しないが、彼女の夫の職責を考えれば、明け方だろうが深夜だろうが、緊急の用で会社に駆けつけることがないとは言えない。そして彼女は、覚悟していたとはいえ、夫のこの地位(投資会社の社長)と、自分の立場(つまり、「社長夫人」)の重さと、縛りの多さと、その割に変化が少なくて退屈であることに、息が切れそうになりつつある。

夫は碧に負けないくらいに朝が弱い。
「柊(しゅう)さん、携帯が鳴ったよ。じきに目覚まし時計も鳴るから、起きたら? 」碧が揺り起こしても、ふん、とかあと5分、とか呟いて布団をかぶっている。実際5分後に、かなり大きい音の目覚ましが鳴るのだが、碧が見張っていなければ、止めて眠り続けるのでは、と疑われるほどに動かない。だがやはり、身についた使命感がそうさせるのか、アラームと同時にがばっ、と起きあがり「ううー」とか「ふふぁあ」とか言いながらガウンを羽織って、のたのたと歩き出す。

服は着ているが、眼は醒めきらない碧は、それでもハーブティー(空腹にコーヒーは良くないので)を準備したり、リビングのカーテンを開けて天気を見たりする。たとえ晴れていても、27階なので洗濯物は干せない。眼下に太い蛇の様に横たわる道路、勤勉なアリの様にそこを走ってゆく数々のクルマ、それらが光を反射して、ちか、ちかと眼を射るのが碧には心地よい。こういうとき、「夫が仕事人間なのも、そう悪くないかしら」と思う。

仕事人間であっても、品川の、家賃33万円の高層マンションに住める年収が得られるとは限らず、その意味では自分は恵まれている。その程度のことは碧にもつくづくと感じられるのだ。

碧の夫、佐竹柊(さたけ しゅう)は40歳になったばかりだ。

来月、33歳になる碧より7歳年長であり、結婚してからはこの5月で7年になる。ときどきこのマンションに泊まりに来る碧の母親は、そのたびに感に堪えたようにこう口説くのだ。

「もうあんた、こんな都心の素敵なマンションに住んで、買いたいものを買って、碧ちゃん、あんた幸せ者だねえ…あんたのあの芸能事務所が、あんたを見捨ててくれたおかげで、こんな結婚ができたんだからねえぇ…世の中何が幸いするか分からないよ。柊さんを紹介してくれた牧さん(碧の亡父のいとこ。その人の紹介で柊と碧は見合いしたのだ)にも足向けて寝られないねえ」足を向けたって誰も困らないわよ、と碧は思うが口には出さず(年寄りに逆らっても仕方がない)、ただ唇の端で笑っているだけだ。エリートのオクサマなんて、優雅でも楽しくもないのだ、と心でぼやいている。



さて、女主人公、碧の愛人はこの殿方だ。
tohru


作中では、「なんて綺麗な人だろう。男であんなに綺麗なんて!」と碧から賛嘆の眼差しを注がれている。
この彼は、あまりお金は持っていない(笑)。しかし、老舗呉服店のオーナーなので、自由時間と、妙なコネがある。
この人は、大学を出た後で美術学校に入り直すような趣味人だ。物語の真ん中当たりでは、碧のために謡曲「通小町(かよいこまち)」を謡いながら小鼓を打っている。

「月は待つらん 月をば待つらん 我をば待たじ そらごとや」

彼は、自分が深草少将のように恋に殉じることが出来ないと、よく分かっている。
そんな、誰かへの愛にのめり込めない自分を、熱愛のために狂死する男の物語を演じて皮肉っている。
彼の名前は、謡曲の「融(とおる)」だ。
偶然にも、碧の夫が日々激務をこなしている「金融業界」にも通じる名前である。

…さて、皆様へ、深良マユミから特別のお知らせがあります。

拙作「クオドリベット」をこれより毎週、水曜日と土曜日に、1話づつこのブログに掲載します

まずは29日、水曜日に第1話「社長夫人の憂鬱(1)」を掲載します。

「クオドリベット」は全部で26話ですが、全編は載せないつもりです( -д-)ノ8話くらいで打ち切る予定です!!!

全編お読みになりたい方は、深良マユミまでメールをくださいませ。DVD のかたちで販売いたします(註:予定です。紙になるかもしれません)
メールアドレスは、サイドバーの「プロフィール」にあります。
メール、お待ちしております。

画像は、「クオドリベット」の舞台でもある品川の駅から見える風景。

この小説では、人形町や銀座や、千代田区平河町や、なぜか韓国の済州島も舞台になっております。

ファイブ ブログランキング

「ファイブスタイル」のランキングに参加してます。ぽちっとして頂けると喜びます






スポンサーサイト

コメントの投稿

非公開コメント

深良マユミの書籍
深良マユミがforkN にて出した書籍です。

今度、きものを着よう その2

by 深良マユミ
forkN
今度、きものを着よう その1

by 深良マユミ
forkN  
夢見ごこち

by 深良マユミ
forkN  
逆髪(さかがみ)

by 深良マユミ
forkN
朧草子(おぼろぞうし) 雪月花星雨雲光の物語

by 深良マユミ
forkN  
レニングラード

by 深良マユミ
forkN
クオドリベット 上巻

by 深良マユミ
forkN
クオドリベット 中巻

by 深良マユミ
forkN
クオドリベット 下巻

by 深良マユミ
forkN
ロックス・アンド・チェインズ

by 深良マユミ
forkN
僕がいなくてさびしくないの

by 深良マユミ
forkN
式子内親王

by 深良マユミ
forkN
谷崎潤一郎の密かな禁欲

by 深良マユミ
forkN
芸術の監獄 イントロダクション

by 深良マユミ
forkN
芸術の監獄 ドミトリー・ショスタコーヴィチ(前編)

by 深良マユミ
forkN
芸術の監獄 ドミトリー・ショスタコーヴィチ(後編)

by 深良マユミ
forkN
芸術の監獄 ワシリー・カンディンスキー(前編)

by 深良マユミ
forkN
芸術の監獄 ワシリー・カンディンスキー(後編)

by 深良マユミ
forkN
芸術の監獄 江戸川乱歩

by 深良マユミ
forkN
芸術の監獄 グスタフ・クリムト

by 深良マユミ
forkN
芸術の監獄 円山応挙

by 深良マユミ
forkN
芸術の監獄 ベラ・バルトーク

by 深良マユミ
forkN
芸術の監獄 夢野久作(前編)

by 深良マユミ
forkN
芸術の監獄 夢野久作(後編)

by 深良マユミ
forkN
あわせて読みたい
あわせて読みたいブログパーツ
最新コメント
最新記事
カテゴリ
検索フォーム
リンク
QRコード
QR
月別アーカイブ
オートリンクネット
上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。