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本を読みたい、第一弾

7dce85f5.JPG日本経済新聞の書評欄で取りあげられた本ですから、ご存知の方も多いでしょう。「ブルバキとグロタンディーク」(日経BP 社刊)です。
まずは「ブルバキ」って何なの? と言いますと、これは数学者集団が自らにつけたグループ名。19世紀の有名な将軍の名前からもらったものですが、もっと詳しい裏話(メンバーのユーモア好きが分かります)が本には載ってます。
グロタンディーク(アレクサンドル・グロタンディーク)は、その道の方なら誰でも知っている数学者。天才数学者です…しかし現在、生きているか死んでいるのか分かりません。所在不明なのです…はい、この叙述の意味は後ほど書きます。

さて、グロタンディークの業績は、本書ではこう語られています。

「グロタンディークが計画初期に成し遂げた大きな成果の1つが、可換代数を代数幾何学の分野へ組み込んだことである。そうして彼は、概型の局所構造を研究する道具としての、可換代数の役割を確立した。概型の理論が算術と幾何学を結びつけ、それによって1世紀前のドイツ人数学者レオポルト・クロネッカーが定めた目標が達成されたのだ。」(本書210から211ページ)

…ええ、正直に言うと私も、ナンノコトヤラ(^_^;)ですが、wikipediaの「線形位相空間」「関数解析学」をご覧になれば、おおまかに、「はは~」と納得できる方もいらっしゃるかと。特に前者!!!「参考文献」のところに「ブルバキ」と出ているのにご注目を。

要するに、「ブルバキ」とは、先述したように数学者のグループなのですが1934年に結成し、メンバーの新陳代謝を繰り返して、それまでの数学に斬新な展開をもたらしたのです。で、グロタンディークも、その「ブルバキ」メンバーとして活躍したのですが、皮肉にも、グロタンディークの作りあげた数学の土台は、「ブルバキ」のつくったものを超えてしまった、その結果「ブルバキ」学派(というものが、あったとは書いていないのですが)は衰退にいたり…というのが、ほぼ、この本から読み取れます。

さて、ではブルバキの成し遂げた仕事とは!!??
いや、これは私が要約するのはどうかな、と思ってしまいます。読んだから全てを要約できるモノではないし、第一、私には数学の知識があまりに不足していますゆえ。なので、彼ら、フランスの若き数学者達の目標が「今後2000年にわたって通用する、新たなユークリッドの原論を作り出す」ことであったとお伝えし、「完璧に厳密な本」を書くべく、グループで切磋琢磨と叱咤激励とケンケンガクガクをしていた。
そして、彼らを知るための重要ワードは「構造」と「群」、ですとだけ話します。

実際、ブルバキの第一次メンバーについての挿話を読むと、なんだか小説が書けそうで、にやりとします…リーダー格のアンドレ・ヴェイユは、才能に溢れてはいるモノの、少々わがまま坊ちゃんで、フランスの軍に入るのが嫌で国外逃亡。でも、それがアダに…(後はナイショ)卓越した文章力の持ち主の、ジャン・デユドネ。個人個人の要素を無くして知的所有権争いが起きないようにしようと主張し、結果としてブルバキの命運を伸ばしたジャン・デルサルト、ユダヤ人だったために、フランスじゅうを逃げまどったローラン・シュワルツ…

私だったら、そのローラン・シュワルツが、数学の先生としてやってきたフランスのある寒村で、アレクサンドル少年と邂逅したことから、小説を書き始めるでしょうね。何年も後になって二人は、大学の指導教官と、大学院生として再会するわけですが。
***********************************

アレクサンドル・グロタンディーク(1928年生まれ)は、ユダヤ系でした。この年代生まれでユダヤ人であることが何を語るかは、言うまでもないですね。彼は悪名高いナチの収容所に母親と収容され(1940年)終戦までそこで過ごします。なぜか、収容所から学校に通うのはノープロブレムだったらしく、これは天の助けとも言えたでしょう…しかし、絶句する話です。

成績は優秀で20歳でモンペリエ大学を卒業。さらに上に行くために奨学生に応募したところ、面接の役人がその数学分野の才能に驚嘆し、パリにあるエコル・ノルマル・シュペリュールに入学。
そして、ブルバキのメンバーとのセミナー、合宿に参加するようになり、数々のアイディアで数学の土台を作り替えてゆくのですが、それが「ブルバキ」のつくった論、著書よりも大きくなり、いわば超えてしまった、というのは書きました。

で、なぜこの数学者は、1991年に自分の草稿25000ページを燃やしてしまい、失踪するなどという挙に出たのか…ですが。
彼はある時期から、反戦活動と環境保護活動に熱中し始めるのです。ベトナムにも行ったそうです。まあ「反戦」は分かりますね…戦争によって幸福な少年期を奪われたのですから。しかし、数学の講演をするべき席で、政治的信条を演説しまくる学者に関係者は辟易。友人も彼をかばえなくなります。

もうこの頃には、「数学なんかより、世界を変えなくては!」と思い詰めていたかもしれません。しかし、国家などというモノを、一介の研究者がどうできるというのでしょう? 処世術の使える人ならば、すぐに悟って普通に論文書きに戻るでしょうが、この数学者にはそれができなかった。そう、恐らく、何かに物凄く秀でている人は、別の何かが全くできないというのは、当たっているのでしょうね。

グロタンディークは、ピレネー山中に隠遁したようです。90年代半ばに、二人の知人が彼と会えたのですが、もうそれが最後。
そこまで世間を拒絶する心境は、一体どういうものなのか私には分かりませんが、分からなくて幸せなのでしょう。多分社会よりも、数学のもたらす美が彼の友人なのでしょうから。
…ああ、長く書いてしまった。ちと反省^^;


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