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紫式部と清少納言

a72f664d.JPG二人とも、私が限りなく尊敬し、あの世に行ったら表敬訪問したい文学者ですが、どちらの才能により憧れるかと言えば、紫式部ですね。だって小説家ですから。
「源氏物語」は、おそらくそれまで存在した、お手本となるべき「物語」のワクをはみ出した、人間の欲と虚栄と、その裏腹の妙な「やましさ」を感じる有様を書ききった、読み手にとって「これって、確かにあるよね!」と激しく共感を覚えさせる小説だったと思います。
それまでの「竹取物語」などは、可愛らしいしあわれさもありますが、登場人物はみんなイイヒト(苦笑)、お姫様は天上の人。ところが、光源氏は、一天万乗の帝の皇子でありながら母はただの更衣。いわば、栄光を輝かせつつも、暗い何かを存在に潜ませた人間なのです……その造形が、もう抜きんでています。

周囲のキャラクターはそれ以上に、見事に生き生きしています。愛が憎悪に変じてしまって源氏の周りの女性を殺めてしまう六条御息所(ヒエー)、出世欲と友情とがかわるがわる出てくる頭中将、客観的に自分の立ち位置を見て、娘の出世のために振る舞う明石の上、「こんな男と関わったら、人生破滅よ」と、源氏からの誘いをはねつける朝顔の斎院。宇治十帖に登場する、薫と匂宮も、なんだか体面ばっかり気にする馬鹿ムスコという感じで、ツッコミどころ満載です(^_^;)

ん~、これほど私は「源氏物語」が好きなのですが、自分の気質はなんだか清少納言に似ているのかも…と感じるようになったのは最近のことです。

「枕草子」は、ご存知のように清少納言が、中宮定子のもとに仕えた時代の随筆です。どうも、今のカンカクだとブログっぽいのです(笑)。宮廷生活の記録と、自分の好きな風景、モノ、伝聞とが混在している。良く言えば多彩で、好奇心と感動とを的確に伝えているのですが、わるく言えばまとまりがないのです。
また、美しいモノや、素敵なモノを数え上げている一方で、意外と「すさまじきもの」「にくきもの」「見苦しきもの」をも、丹念に書いてもいます。

恐らく清少納言という人は、感受性は少女、学識と教養は男をしのぐ最高レベル、そして、それにもかかわらず……劣等感が強かった人なのかも、と私は想像しています。あくまで、推測ですけどね。紫式部にも、それはあったでしょう。何らかのコンプレックスなくして、人は文学をやらないものですから。
しかし、清少納言のそれは、多分、自己否定さえ考えたくらいに強烈なものだったかもしれない……根拠ですか? 根拠といえるものかどうか躊躇いますが。

「枕草子」には、彼女の幼少時の思い出話がありません。父親は有名な歌人、清原元輔ですが、その父の話もしていない(唯一、仲間に「あの元輔の娘なんだから~」と言われるくだりがあるだけ)。これは「紫式部日記」のあの有名な、「この子が男だったら!」と藤原為時が嘆いた挿話と、好対象をなしている気がします。多分清少納言は、きょうだいなどから「お父さんの娘なのに、和歌が下手だね」と言われて育ったのかも。そう思うと可哀想です。

劣等感ゆえに、ますます感覚が鋭敏になり、ますます自意識が強くなり、頭脳の働きと散文に磨きがかかり……それらが、中宮定子のもとに仕えるようになったときに一気に花開いた。やっと認めてもらった、と清少納言は思ったのではないかしら。

…その後の清少納言と彼女の最愛の女主人、中宮定子については、もう説明の必要はないでしょう。一方、紫式部は、「勝ち組」中宮彰子の有能なスタッフとして厚遇されます。最近の研究者の間では、道長の愛人であったことは、確定的のようです。こんなに勝ち組なのに、なぜ紫式部は、「紫式部日記」のなかで、清少納言のことをあれだけ「物知り顔の女め、さきざきろくなことになるまい」と酷評しているのか?? 
その才女として周囲から持ち上げられた表情の裏、または内面の葛藤については、紫式部は、清少納言ほど素直に語ってはくれません。「源氏物語」の登場人物は、すべて紫式部の心の断面ですが……しかし、彼女は決して劣等感を、自分の傷つきやすさを露わにはしない。鉄の自制心の持ち主と、私には思えます。

そういう自制心と克己心と集中力が、あれほどの小説の作者には確かにふさわしいですね。あら、こんなに長くなってしまった文章にお付き合い下さり、ありがとうございます。いずれ、もっときちんとした芸術エッセイにしたいと思いますm(_ _)m
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