実践FXブログ

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フェリックス・ティオリエ写真展@世田谷美術館

「哲学者ミシェル・フーコーの著作から影響を受けた言語を使う者は、写真についての発言には歴史的背景があると言うことを知っている。1850年と同じような方法で、1990年に写真について記述することは不可能である」  Francois Brunet

今日は、「フェリックス・ティオリエ写真展」を見てきました。フェリックス・ティオリエ(1842-1914)がどのような人生を送った人なのかを知らないと、彼が何故、写真という形態にこだわったのかが、いまいち分からないので、ぜひウェブをご覧下さいませ。
フェリックス・ティオリエ写真展
-いま蘇る19世紀末ピクトリアリズムの写真家-



第1章「肖像写真」   第2章「パリの風景」  第3章「農村に暮らす人々」
第4章「工業化の時代」 第5章「ティオリエの愛したフランス」
第6章「色彩の世界へ」 

と、被写体ごとに分けてあるのですが、どれも実に「絵画的」なのです!!
06075.jpg

これらの写真は、第6章のものをのぞいて全て白黒ですが、なんとこの白と黒(正確にはチャコールグレー)の陰影の豊かなこと!!!!!!
特に、風景や庭の写真の樹木なんて、針のように細い枝までくっきりと写り、その枝の葉っぱの陰影がよく見るとあるんですよびっくりしました。

いや~~モノトーンと言うのはなんと雄弁なのでしょう。

光の輝く白は、濃い闇の色、黒との対比で物質の重みと、質感とを見る者に伝えてくれます。白と黒とはどちらか一方だけでは成り立たない。白あっての黒であり、黒あっての白である。

私事ですが、拙作「ロックス・アンド・チェインズ」では、男主人公(FX 会社で為替分析を生業にしている。35歳)が、ギャラリーでアートに一目惚れしたことから始まる物語ですが、私はそのアートを
「モノクロームの写真」に設定しました。
現代人は、絵画よりもむしろ、写真の方に謎めいたものを感じるからという理由でそうしたのですがね……閑話休題。


ティオリエの写真の見事なところは、質感を正確に再現しているところですね。
ノートルダム大聖堂の怪獣の写真なんて、石の表面の細かいぶつぶつまでもが再現されていて!!臨場感たっぷり。
そして、なにより素晴らしいのは構図。絵画的に「これしかない」という美しいバランスで被写体がおさまっており、見事に「美の数的法則」に則っています。
「モルナンの池ノ上に広がる雲と木」と題された写真は、葉を落とした樹木の形が二等辺三角形で、
その樹木に、大きな雲の塊がかぶさっているのですが、この雲の形が、三角形△ になっているのです。
(絶対これは、雲が樹木に重なるのを待っていたに違いない…)

なんというか、この「自分が気に入った構図になるまで待つ」という彼の姿勢が本当にいじらしいというか、美を手に入れるには、手間を惜しまない人だったのだなあとつくづく思います。

省みると、私たち現代人は、どうでしょう美しいものを手に入れるのは、時間と手間が必要だと言うことを、忘れているのではないかと…

デジカメも、ケイタイも、実に鮮明で素敵な写真が撮れるけれど、ティオリエの雄弁な写真を見た後では……何となく、大事なものが入っていない、平板でつまらない画面しかつくれないです。
私が08年にフランス旅行したときに撮影した、モン・サン=ミシェル。
07141.jpg

07142.jpg
↑建物頂上からの眺めです。

…やっぱり、「お手軽」な画面ですよね(苦笑)

ところで、モノクロームの美に心を奪われてしまいましたが、彼の時代にはすでに、カラー写真への試みもありまして、それは当時、オートクロームという名前でした。
オートクロームは、あの、世界で初めて映画を上映したリュミエール兄弟によって販売され、ティオリエもリュミエール商会の顧客でした。
(親切にも、リュミエール商会がティオリエにお返事したお手紙も展示されてます)

いやいや、このオートクロームは、スイッチを入れると灯りが点くという形で展示されてますが、色の数が少ないため、モノクロームに、一色の絵の具をにじませたような画面になっていて、夢幻的な世界をつくってます。

雪景色なのに、全体がピンク色になっていたりして(笑)これはこれで、前衛的と言うか。

多分、ティオリエが写真にこだわったのは、こういう「ありえない光景」を機械で作れると言うことに、魅惑を感じたのではないかというのが私の推測です。

ただ風景が好きなのなら、絵を描くのでも良かったはずなのに、手間と時間がかかる「撮影機器」を運んで三脚をセットするのは、機械好きでないとできない(註:つまり、私なんかは写真家は無理 爆笑)

あと、彼の写真に感じたのは、対象を包み込む「愛」ですね。

独占したいと思う「愛」ではなくて、もっと寛大でひろーーーーい愛をもって、世界を眺めていたことが感じられる。

…美しいものを、時間をかけて愛することができる人間になりたいです。。。。

さて、ティオリエ写真展は今月の25日までですよ~。ぜひご覧下さいませ。そこそこ混んでます。


あ、2階の展示室で開催されている「建畠覚造(たてはた かくぞう)」さんの彫刻展示も面白かったです
まるでSF 小説のなかの都市のオブジェみたいで♪♪設計図の緻密な計算にも感動しました。
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素晴らしきモノトーンの世界♪

今日は大雨の予報が、すっかり良いお天気になってしまいましたね^^;

>美しいものを手に入れるのは、時間と手間が必要だと言うことを、忘れているのではないかと…

まったくもって耳の痛い話です…。
美しいものを手に入れるまでに費やす時間が無駄だ、とばっさり切り捨てられてしまいがちなこの時代(T_T)
会えない時間が愛育てるのさ~♪ですよ…あら、郷ひろみさんって結構良いこと歌ってますね(笑)
(アホなコメントで失礼^^;;;)

No title

拍手、ぱちっ。
この写真展、私も行きたいと思っていました。
25日までなんですね・・・。
昔の写真(失礼な書き方ですが・・・)は素晴らしいです。
デジタルは便利な場合もあるけれど「写真」というよりは「データ」ですのでね。
どうしても「作品」という意味合いが薄れて来ます。
本当の写真は、おカネも時間もかけて、紙焼きで勝負すべきなんですよね。
悲しいことは、プリントの作成においても、どんどんとデジタル仕様になっていること・・・。
今や、良いラボを探すのも一苦労です。

よしをさま♪

招待券をいただき本当にありがとうございましたv-344
写真と絵画、モノトーンと天然の色彩、プロの芸術家とアマチュアの芸術家(ティオリエさんは、こっちでしたものね~)などと、いろいろ考えながら鑑賞したりもしました^^

> 美しいものを手に入れるまでに費やす時間が無駄だ、とばっさり切り捨てられてしまいがちなこの時代(T_T)

これは悲しいですよね~v-395

現代人は多忙すぎるのですよv-364美しいものを手に入れるのに、1年待つのは無理でしょうが、せめて、手軽なものは買わないとか、そういう忍耐もときには必要かな~なんて思います。

> 会えない時間が愛育てるのさ~♪ですよ…あら、郷ひろみさんって結構良いこと歌ってますね(笑)
うん、これは作家的には「障害のある恋愛ほど燃える!そして燃える愛ほど、なぜか障害に見まわれる!」というセオリーとして頭に入れてます(爆笑)でも、細菌ではそれも陳腐になってきたので、新しいセオリー作らないと~と思ってます。
郷ひろみさんは「出会いは~億千万の~胸騒ぎぃ~~~♪」という素晴らしい歌も唱われてます♪♪いつもコメントありがとうございますv-353

Naoko さま

いつもご愛読ありがとうございますe-265

いえ、私はティオリエさんの写真も良いですが、Naoko さまの写真のもつ臨場感と、被写体への「愛!」にいつも感動しておりますよ。
ティオリエさんが現代に生きていたら、逆に写真とかやらなかったと思いますよ。コノヒト、「メカニックおたく」だと私は確信してますので(笑)多分パソコンを自分で製作するとかそういうことをしそうな人だと思います。

> 本当の写真は、おカネも時間もかけて、紙焼きで勝負すべきなんですよね。

手のかかった作品と言うのは、悲しいことに現代では採算が取れませんね…(涙)

しかし、あなたのお写真の素晴らしさは、分かる人には必ず分かります。
いつも拍手ありがとうございますね~。感謝ですv-278

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